【Will&Nexus 37/49】「鉄球」と「ピンポン球」、あなたはどちらで飛んでいるか。

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「鉄球」と「ピンポン球」

同じことを言っているのに、ある人の言葉は刺さり、自分の言葉は流される。その差は何だろう。

同じ速度で飛んでくるボールでも、鉄球とピンポン球では、当たったときのインパクトがまるで違う。

物理の法則だ。衝撃=質量×速度。速度が同じなら、質量が大きい方がインパクトが大きい。

その差は何か。

もちろん、ポジションや実績の差はある。でも、それだけでは説明できない場面がある。同じ立場でも、言葉の重みが違う人がいる。

その差は、覚悟の質量だと僕は思っている。


覚悟とは何か

覚悟という言葉は、精神論に聞こえるかもしれない。でも、ここで言う覚悟は気合の話ではない。

覚悟とは、「自分の選択の結果を、すべて自分で引き受ける」と決めていることだ。

記事13[※1]で「ハンドルを握る」と書いた[※1]。ハンドルを握っている人の言葉は重い。なぜなら、結果がどうなっても「自分が選んだ」という事実を引き受ける準備ができているからだ。

逆に、ハンドルを預けている人の言葉は軽い。うまくいかなかったときに「あの人がそう言ったから」と逃げる余地を残しているからだ。

聞いている側は、その差を無意識に感じ取る。


逃げ腰の設計は、インパクトがない

ここで一つ、実務的な話をしよう。

提案するとき、「もしうまくいかなかったときのために」と、あらかじめ言い訳を準備する人がいる。

「これはあくまで一案ですが」「間違っているかもしれませんが」「他にも選択肢はあると思いますが」。

こうした前置きは、一見謙虚に見える。でも、設計者の視点で見ると、これは衝撃の質量を自ら減らしている行為だ。

ピンポン球を投げているのと同じだ。速度(ロジック)はあるかもしれない。でも、質量(覚悟)がないから、当たっても響かない。

もちろん、「断言すれば通る」という話ではない。根拠のない断言はただの暴走だ。

ロジック(速度)と覚悟(質量)の両方が揃ったとき、インパクトは最大化する。


選択を「正解」にする

別の記事で「遠回り」について触れている[※2]

あの記事で伝えたかったことの一つは、選択に「正解」はない。選択を「正解」にするのは、その後の行動だということだ。

「この会社に入ったのは正解だったのか」「この転職は正しかったのか」「あの選択は間違いだったのか」。

こうした問いには、実は答えがない。正解だったかどうかは、その選択の後に何をしたかで決まる。

だから、選択する時点では「正解」を探す必要はない。選んだあとに「正解にする」覚悟があれば、それでいい。

この覚悟が、主人公としての質量を生む。


悪い結果も「データ」にする

覚悟を持って選択した結果、うまくいかないこともある。

当然だ。すべてがうまくいく保証はない。

でも、記事02[※3]で書いた通り[※3]、うまくいかなかった結果は「バグ報告」だ。データだ。次の設計のための情報だ。

覚悟を持って選択した人は、悪い結果を「失敗」ではなく「データ」として受け取れる。なぜなら、自分が選んだからだ。自分が選んだからこそ、その結果を分析できる。「なぜうまくいかなかったか」を冷静に見つめられる。

一方、他人に選択を委ねた人は、悪い結果を「誰かのせい」にする。そこから学びは生まれない。データにならない。次の設計に活かせない。

覚悟は、結果にかかわらずハッピーでいられる構造を生む。 なぜなら、結果がすべてデータになるからだ。「正解だった」でも「次はこうしよう」でも、前に進める。


質量を上げるために

最後に、質量を上げるための実践的な問いを一つ。

何か判断を迫られたとき、こう問いかけてみてほしい。

「この選択の結果を、すべて自分で引き受けられるか?」

答えが「はい」なら、そのまま打てばいい。鉄球で打てる。

答えが「いいえ」なら、二つの可能性がある。一つは、まだ準備が足りない。もう少し情報を集めてから打った方がいい。もう一つは、覚悟ができていないだけだ。準備は十分なのに、結果を引き受ける覚悟が足りない。

後者なら、こう考えてみてほしい。

「どの選択をしても、後から正解にできる。」

そう信じられるなら、覚悟は自然と生まれる。なぜなら、選択に「外れ」がないのだから。

設計者は、正解を探す人ではない。選択を正解にする人だ。


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この記事を書いた人

慶應義塾大学大学院 理工学研究科 前期博士課程修了。

新卒から総合コンサルティングファームに入り、約6年ITや業務のコンサルを行う。研修会社に転職し、研修講師・企画等を行ったのち、人事領域全般に関わる、人材紹介会社グループのコンサルティングファームに。社内から組織や人材を良くしたいという希望から、事業会社で人事責任者などを経験。

趣味は多岐にわたる。断続的に続いているものだけでもゲーム(特にRPG, ドラクエシリーズ)、小さい頃から好きだった音楽(特に歌うこと)、社会人になってからフィットネスクラブ通い、コロナになってから始めた写真などは今も断続的に行っている。

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